製造業の技術は農業を変えられるか
一八商会とぱくぱく農園がアルカリ電解水の実証実験を開始
異なる業界の知恵が交わることで、新しい可能性が生まれる。
そんな取り組みが、この夏、館林・邑楽地域で始まろうとしている。
アルカリ電解水を活用した金属加工技術を展開する一八商会の池田代表と、持続可能な農業を目指すぱくぱく農園の大野代表が、アルカリ電解水の農業利用に関する実証実験を共同で実施することになった。
池田代表は鉄鋼業界で約40年にわたり現場を経験。中東情勢などによる油関連資材の高騰や環境負荷の問題を目の当たりにし、「より安全で環境負荷の少ない方法はないか」と模索する中でアルカリ電解水の活用に取り組んできた。
一方の大野代表は、大学で農学を学び、日本農業の現状や課題に向き合う中で農業の道を志した。有機農業や資源循環にも積極的に取り組み、コーヒーかすやおがくずを活用した堆肥づくりなど、「持続可能な農業」の実践を続けている。
また、今回の打ち合わせには、露地野菜の生産を手掛けるかやま農園の加山聡代表も同席した。加山代表からは育苗段階での検証について意見が出され、白菜やズッキーニを対象とした試験も実施する方向で話が進んでいる。
今回の実験では、ハウス栽培のキュウリや育苗中の白菜、ズッキーニなどを対象に、アルカリ電解水を使用しない区画、電解水のみを使用する区画、電解水と農薬を併用する区画を設け、生育状況や収穫物への影響を比較する。
育苗と葉面散布の両面から効果を検証することで、アルカリ電解水が農業現場でどのような可能性を持つのかを多角的に確認していく考えだ。
農業の現場では、「本当に効果があるのか」が何より重要だ。机上の理論ではなく、実際の畑で比較しながらデータを積み重ねていく。
大野代表は「現場で試してみなければ分からないことが多い」と話し、池田代表も「製造業で培った技術が農業に役立つのであればうれしい」と期待を寄せる。
この取り組みの特徴は、単なる実験ではないことだ。
メディアトーキングでは、これまで企業同士のマッチングや取材活動を通じて、新たな価値創出を支援してきた。今回も実験の記録や情報発信を担当するとともに、地元メディアとの連携を進め、地域に根差した取り組みとして広く発信していく予定だ。
実証実験の様子や結果については、継続的に取材を行い、農業関係者だけでなく製造業や地域企業にも情報を届けていく。異業種同士が協力して新たな可能性を探るプロセスそのものが、地域にとって価値ある挑戦になると考えている。
製造業の技術と農業の知恵。
一見すると接点の少ない分野だが、だからこそ生まれる化学反応がある。
一八商会の池田代表、ぱくぱく農園の大野代表、かやま農園の加山代表。そして、その取り組みを発信するメディアトーキング。
それぞれが持つ知識や経験を持ち寄りながら始まる今回の実証実験は、一つの商品を売るための取り組みではなく、地域から新たな価値を生み出そうとする挑戦でもある。
アルカリ電解水は農業の未来にどのような可能性をもたらすのか。
6月中旬から始まる実証実験の結果に注目したい。