廃校の体育館が未来の実験場に! TATARA SKYがドローンショーの実証実験
かつて子どもたちが走り回っていた小学校の体育館。その空間を舞台に、新しい技術への挑戦が始まっています。
ドローンを使った事業を展開するTATARA SKY(代表・遠藤秀身氏)が、廃校となった小学校の体育館を活用し、複数のドローンを同時に飛行させるドローンショーの実証実験を行いました。
体育館の床に並べられた小型ドローン。プログラムがスタートすると、それぞれの機体がLEDを光らせながら動き出します。
今回の実証実験では、単純にドローンを飛ばすだけではなく、複数の機体をどのように動かし、どのようなフォーメーションをつくることができるのかなど、実際の飛行を通じて確認が行われました。
一機一機の動きを組み合わせて「ショー」をつくる
ドローンショーで重要になるのが、複数の機体を連動させるプログラミングです。
現在取り組んでいる方法では、それぞれのドローンについてX軸、Y軸、高さなどを設定し、一機一機の動きを組み立てていきます。頭の中で立体的な動きを想像しながら設計する必要があり、想像以上に複雑な作業です。
専用ソフトでは、各ドローンの軌道や移動時間、ループ回数、回転角度などを視覚的に設定できます。また、機体同士が接近しすぎた場合には警告を表示する衝突検知機能も備わっています。
しかし、シミュレーション上では問題がなくても、実際に飛ばしてみなければ分からないことがあります。LEDの点灯や機体の動きなど、実機だからこそ発見できる課題もあり、今回のような実証実験を重ねることが重要になります。
30機を所有、さらに大きな表現へ
TATARA SKYでは現在30機のドローンを所有。今後は10機、20機、30機と、使用する機体数に応じたプログラムを増やし、さまざまなシチュエーションに対応できるドローンショーの構築を目指しています。
一度制作したプログラムは、部分的な変更によって別の演出にも応用できます。そのため、さまざまなフォーメーションや動きを蓄積し、「プログラムのライブラリ」をつくっていくことも今後の重要な取り組みとなりそうです。
さらに将来的には、AIを活用してプログラミングを効率化したり、楽曲を解析して曲調に合わせたドローンの動きを自動生成したりする可能性についても検討されています。
元小学校教員が挑む、ドローンの可能性
TATARA SKYを立ち上げた遠藤秀身代表は、34年間務めた小学校教員を早期退職し、2024年4月に創業しました。
趣味として始めたドローンをきっかけに本格的に学び、「一等無人航空機操縦士」の資格を取得。現在は一般社団法人群馬県ドローン普及協会の理事を務め、実習や座学の講師を担当するほか、長年の教員経験を活かした子ども向けのボランティア活動にも取り組んでいます。
そんな遠藤代表が今回、かつて子どもたちが学んだ学校という場所で、未来につながる技術の実証実験を行っていることも印象的でした。
廃校を「未来を試す場所」へ
今回の取り組みを取材して、メディアトーキングとして注目したいのは、ドローンそのものだけではありません。
人口減少などによって全国各地で学校の統廃合が進む中、役割を終えた校舎や体育館をどう活用していくのかは、地域にとって一つのテーマです。
広い空間と高さを持つ体育館は、天候の影響を受けにくく、今回のような小型ドローンの実証や練習を行う場所として一つの可能性を持っています。
「使われなくなった場所」と「これから使われる技術」。
一見するとまったく違う二つが出会うことで、新しい価値が生まれるかもしれません。
ドローンショーは、イベントで光を使った演出を行うだけにとどまらず、地域の祭りや伝統文化、芸能などとの組み合わせについてもアイデアが出ています。実証実験では、尾島ねぷた祭りや能楽など、地域文化と最新技術を融合させる可能性についても意見が交わされました。
まずは一機を飛ばす。
次は複数の機体を動かす。
そして、それを「表現」に変えていく。
体育館の床に並んだ小さなドローンの光が、これからどんな景色を描いていくのか。
メディアトーキングでは、TATARA SKYの挑戦と、ドローンから生まれる新しい地域の可能性を引き続き追っていきたいと思います。
TATARA SKY
代表:遠藤秀身
所在地:群馬県館林市日向町1710-7
営業時間:午前9時〜午後5時
定休日:不定休