一文字に、心を整える時間。
「祝聖文」を写しながら、平和を願う。
2026年7月21日、館林市にある大道寺で開催された「写経講座」に、メディアトーキングの山元が参加・体験してきた。
会場に足を踏み入れると、静かな本堂には筆の音だけが響く。
参加者は、墨をすり、一文字ずつ丁寧に筆を運ぶ。
普段、私たちはパソコンやスマートフォンで文字を打つことが当たり前になっている。しかし、筆を持ち、墨の香りを感じながら文字を書く時間は、それとはまったく異なる感覚だった。
写経は「上手に書くこと」が目的ではない
講座で最初に印象に残ったのは、
「字の上手下手ではなく、一文字一文字を書き写すことそのものに意味がある」
という言葉だった。
今回写経したのは「祝聖文(しゅくしょうもん)」。
浄土宗の根本経典『無量寿経』の一節で、新年や地鎮祭、上棟式などでも唱えられる、世の平和と人々の安穏を願う偈文である。
「天下和順」
写経した祝聖文には、次のような願いが込められている。
天下は平和となり、太陽や月は清らかに輝き、季節に応じて風雨が巡る。災害や疫病は起こらず、国は豊かで、人々は安心して暮らし、争いのない世となる。そして人は徳を重んじ、礼節を忘れない。
数百年前から受け継がれてきた言葉だが、その内容は現代にも驚くほど重なる。
戦争、災害、感染症…。
だからこそ、「平和を願う」という祈りは、今の時代だからこそ一層深く胸に響いた。
墨をする時間も、写経の一部
実際に筆を持つ前には、硯に数滴の水を落とし、ゆっくりと墨をする。
「力を入れず、静かに墨をする。」
そんな所作にも意味があるという。墨の香りを感じながら心を落ち着かせ、姿勢を整え、呼吸を整える。
便利さを追い求める現代だからこそ、この"ゆっくりとした時間"が、とても贅沢に感じられた。
経営者にこそ、必要な時間かもしれない。
取材を終えて、私が一番感じたことがある。
忙しい毎日を送り、次々と判断を迫られる経営者ほど、自分自身を振り返る時間が少ないのではないだろうか。
売上、人材、資金繰り、新規事業…。
常に「次」を考え続ける仕事だからこそ、立ち止まって心を整える時間は、意識しなければ生まれない。
写経は、誰かと競うものでも、成果を求めるものでもない。
ただ、一文字ずつ筆を運び、自分自身と向き合う時間である。
今回体験してみて、この時間には経営者にこそ大きな価値があると感じた。
だからメディアトーキングは、この写経講座を単なる文化体験として終わらせるのではなく、経営者向けのリトリートプログラムとして提案していきたいと考えている。
経営者同士が寺という静かな空間で心を整え、その後に対話を重ねる。
そこから生まれるアイデアや人との縁は、会議室では決して生まれないものになるかもしれない。
メディアトーキングは、「会う、話すで繋ぎ、物語にする。」を掲げてきた。
これからは、人と人をつなぐだけではない。
人が、自分自身と向き合う時間をつくること。
それもまた、地域にある文化を未来へつないでいく、新しいメディアの役割だと考えている。
教室情報
大道寺
群馬県館林市本町2-4-11
上野紫楓先生による書道教室
子ども〜大人まで対応
見学・体験可
字手紙講座、筆跡診断なども実施
詳細:天真書道会 大道寺教室
天真書道会館林教室: https://share.google/XkMIhTu5f8PTDP9hB
