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「まず、やってみよう」銀豆珈琲から始まる藤牧義夫展
― 館林に眠る文化を、もう一度街の中へ ―

「まず、やってみよう」銀豆珈琲から始まる藤牧義夫展

― 館林に眠る文化を、もう一度街の中へ ―

8月25日、銀豆珈琲で、フィットネスインストラクターの武井映理子さんと打ち合わせを行いました。

テーマは、館林出身の版画家・藤牧義夫の作品を銀豆珈琲で紹介する小さな展示会について。

以前の記事でも書きましたが、この企画が生まれたきっかけも「人との出会い」でした。

数秘術・クリアリングを使って使命を読み解き、人生を動かす専門家・多々喜千種さんから武井さんをご紹介いただき、銀豆珈琲で話をしていたところ、武井さんの大叔父(祖母の弟)が藤牧義夫であることを知りました。

本来はフィットネスを軸に「これから何か新しいことをしていきたい」という相談だったのに、雑談から全く違う物語が出てきた。

こういう展開があるから、人と会って話をするのは面白い。

そして今回、その話を「面白いですね」で終わらせず、実際に形にしてみることになりました。



9月2日――藤牧義夫が姿を消した日


藤牧義夫は1911年、館林に生まれた版画家です。

そして1935年9月2日、24歳の若さで消息を絶ちました。

その後の足取りについては現在に至るまで謎が残り、それも藤牧義夫という人物をめぐる大きなミステリーの一つになっています。

今回の展示について話している中で、

「せっかくなら9月2日前後から始めたい」

ということになりました。

藤牧義夫が消息を絶った日から91年。

その日に合わせて、生まれ故郷である館林の人たちに、改めて藤牧義夫という人物を知ってもらう。

大規模な展覧会ではありません。

銀豆珈琲のスペースを考え、展示するスケッチ写真は5〜6点程度を予定しています。

武井さんのお父さまは写真家で、生前、藤牧義夫の作品を撮影し、きれいにパネルとして残していました。

今回、その貴重な資料の一部をお借りして展示します。

さらに、それぞれのスケッチについての解説資料などをファイルにまとめ、来店された方がコーヒーを飲みながら自由に手に取って読めるようにしたいと考えています。


美術館ではなく、喫茶店で見る


今回、私が面白いと思っているのはここです。

展示場所が「銀豆珈琲」であること。

もちろん、美術館で作品を見ることには大きな価値があります。

しかし、文化は必ずしも美術館やホールの中だけに存在する必要はないと思っています。

いつもの喫茶店に入る。

コーヒーを注文する。

ふと壁を見ると、一枚の作品がある。

「これ、誰が描いたんだろう?」

そこから藤牧義夫を知る。

そして、

「館林に、こんな人がいたんだ」

と思ってもらう。

そんな文化との出会い方があってもいい。

むしろ、文化を街に根付かせるためには、こうした日常との距離の近さが大切なのではないかと思っています。



完璧にしてからではなく、「まず開催してみる」

今回の打ち合わせでは、展示方法や説明の仕方など、細かな話もいろいろ出ました。

しかし最終的には、

「とりあえず、やってみましょう」

という結論になりました。

やってみなければ分からない。

展示してみて不都合なことがあれば直せばいい。

来場した方から意見が出れば、それを次に生かせばいい。

最初から100点を目指して動けなくなるより、まず一歩を踏み出す。

この企画そのものを、みんなで少しずつ育てていけばいいと思っています。



藤牧義夫だけで終わらせたくない

そして、ここからがメディアトーキングとして考えていることです。

現在、メディアトーキングでは、館林を一つの「文化都市」として育てていく構想を進めています。

その根底にあるのは、

**「子どもが憧れる大人のいる街」**

という考えです。

音楽を楽しむ。

絵を見る。

歴史を語る。

本を読む。

料理を楽しむ。

知らなかった世界に触れる。

そんな時間を楽しんでいる大人が街にいる。

私は、それ自体が街の魅力になると思っています。

そして館林を掘り起こしていくと、実に面白い人物や物語が出てきます。

藤牧義夫も、その一人です。

これまで知らなかったから「何もない」のではない。

まだ知られていないだけなのかもしれない。

だから、掘り起こす。

記録する。

人に伝える。

そして、現代の人たちが楽しめる形にして、もう一度街へ返していく。

これは、ジャーナリストとしてメディアトーキングが取り組める文化事業でもあります。


「それぞれの理 IP PROJECT」として

今回の藤牧義夫の取り組みは、メディアトーキングが進めている「それぞれの理 IP PROJECT」とも非常に相性がいいと考えています。

IPというと、アニメや映画、キャラクターなどを想像するかもしれません。

しかし私は、もっと広く捉えています。

地域に残された人物。

歴史。

芸術。

建物。

伝承。

そして、そこに生きた人たちの物語。

それらを掘り起こし、記録し、新しい視点を加えて次の世代へ伝えていく。

それも地域に眠る大切な知的・文化的資産だと思っています。

今回の展示を一度きりのイベントにするのではなく、藤牧義夫という人物を知る入口として、今後どのような展開ができるのかも考えていきたいと思います。


銀豆珈琲のテーブルから、文化都市へ

振り返ってみれば、この企画の始まりは本当に小さなものでした。

銀豆珈琲で人を紹介してもらい、

話をして、

雑談をして、

そこで偶然、藤牧義夫という名前が出てきた。

「それなら作品を飾ってみませんか?」

そんな一言から始まりました。

でも、私はこういう始まり方が好きです。

誰かが企画書を作り、上から「文化をつくろう」と言って始まるのではない。

人と人が出会い、話をして、「それ面白いね」と誰かが言う。

そして、一人、また一人と関わる人が増えていく。

気がついたら、それが街の文化になっている。

メディアトーキングが目指している「会う、話すで、人と人をつなぎ、物語にする」という活動そのものです。

まずは藤牧義夫から。

そして、その先へ。

館林に眠っている文化を、一つずつ街へ戻していきたいと思います。