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昭和スタイルのバー喫茶・・

群馬県館林市本町の水交会館の一角に佇む「昭和スタイルのバー喫茶クエルクス」。カウンター8席のみの隠れ家的バー。2006年12月5日にオープンし、2014年の12月5日に現在地へ移転した同店は、華やかさや流行を追う飲食店とは一線を画す存在だ。店主の生方佑さんは「作り込まれていないこと」を大切にし、カクテルなど見た目を重視して味が犠牲になるような提供はしないという。SNSは活用しているが、いわゆる“インスタ映え”を狙うこともない。「バーがバーとして良かった時代」を知る生方さんにとって、店は自らの価値観を映す空間そのものだ。そして何より、店を象徴しているのは空間や演出ではなく、生方さん自身の在り方と言える。飾らず、不器用で、流行に迎合しないその姿は、まさに“生方さん自体が昭和”を体現している。
昭和スタイルを掲げながらも、店内に昭和を象徴する装飾をあえて並べてはいない。煌びやかさを求めるのではなく、流行にも乗らない。サービスを過剰に押し付けることもなく、「いい店かどうかはお客さんが決めるもの」と静かに語る。口コミでゆっくりと広がることを望みつつも、常連客ほど多くを語らないという空気感も、この店らしさの一つだ。
幼少期から生きづらさを抱えてきたという生方さんにとって、この店は自分が自然体でいられる場所を形にしたものでもある。人のことは理解できても自分のことが分からない。サラリーマンにも向かないと感じる中で、飲食の世界こそが自分が生き残れる場所だったという。騒がしさが苦手な性格から、当初はショットバーを掲げ、やがて“時代遅れなショットバー”となり、最終的に14時オープンし、珈琲も提供する「バー喫茶」という独自の立ち位置へと辿り着いた。
生方さんを支えるのは、性格が真逆だという妻・美津江さんの存在だ。二人で一人前と語る関係性が、店の柔らかな空気を生んでいる。名前を知らなくても、訪れれば昔からの友人のように過ごせる――非日常を演出するバーではなく、肩肘張らず「そのままの自分」でいられる場所。クエルクスは、虚飾を削ぎ落とした生方さん自身を映す空間として、今日も静かに灯りをともしている。

店名: 昭和スタイルのバー喫茶クエルクス
代表: 生方佑
店住所:館林市本町 4−11−22水交会館(右端)
Tel. 0276〜55〜1410
営業時間:14時〜1時 
定休日:木曜日
インスタグラム:@shot_bar_qurcus