「凡事徹底」が紡ぐ一杯 青竹手打らーめん無現から広がる物語
館林市緑町に店を構える「青竹手打らーめん無現」。2008年のオープン以来、地域のラーメンファンに支持され続けている一軒だ。店を率いるのは代表の加藤則行さん。若い頃からラーメンの食べ歩きを趣味とし、飲食店でのアルバイト経験を積みながら、有名店やチェーン店で修行を重ねてきた。
独立を決めた際、加藤代表は大きな選択に向き合った。効率性を追求したチェーン店型の運営で売上を重視するのか、それとも手間を惜しまず、こだわり抜いた一杯を提供するのか。時間をかけて熟考した結果、加藤代表が選んだのは、すべてを自らの手で仕上げる現在のスタイルだった。
同店では、1日に仕込める麺の量が限られている。だがその制約こそが、「最初から最後まで自分の手で作り上げる」という価値を支えている。「儲かる仕事ではないですよ」と笑顔で語る加藤代表。しかし、その言葉の奥には、味と品質への揺るぎない誇りがにじむ。
もちろん、これまでに試行錯誤がなかったわけではない。売上を伸ばすため、顧客の要望に応じたメニュー追加や変わり種のラーメンにも挑戦してきた。しかし最終的に行き着いた答えは、奇をてらうことではなく、「基本のラーメンを徹底して磨き続けること」だったという。
加藤代表が日常業務で大切にしているのは、「掃除をきっちり行う」「席ごとにティッシュボックスを整える」といった、いわば当たり前の積み重ねだ。これを本人は「凡事徹底」と表現する。人気店を訪れた際に感じるのも、特別なことではなく、「ブレていない姿勢」だという。無現が長年支持され続ける理由も、まさにこのブレない日々の積み重ねにあるのだろう。
一杯のラーメンから見える、経営の本質
無現の姿勢は、飲食業に限らず、多くの事業者に通じるヒントを含んでいる。華やかな新商品や話題性だけに頼るのではなく、核となる価値を磨き続ける。その姿勢が結果としてブランドを形成し、顧客との信頼関係を築いていく。
特に地域密着型の店舗においては、「何を変えないか」を決めることが重要になる。無現が大切にしている基本のラーメンと日々の凡事徹底は、まさにその象徴と言える。
メディアトーキングが見つめる“次の物語”
青竹手打らーめん無現の取り組みは、単なる人気ラーメン店の成功例にとどまらない。そこには「軸を持ち続ける経営」という普遍的な価値がある。
例えば、無現のこだわりは次のような可能性にも広がっていく。
・地域飲食店との「職人哲学」対談企画
・地元農産物を活用した限定メニュー開発による地域ブランド化
・若手飲食人材向けの技術・姿勢継承の場づくり
・凡事徹底をテーマにした異業種経営者交流
ラーメンという一杯の中に込められた哲学は、飲食の枠を超え、地域の事業者同士をつなぐ価値を持っている。
人と店をつなぎ、価値を次へ
メディアトーキングは、こうした「変わらない信念」を持つ企業や店舗を取材し、その背景にある想いや哲学を言語化し、次の挑戦へとつなげる役割を担っている。
青竹手打らーめん無現が積み重ねてきた「凡事徹底」という姿勢は、地域に根ざした経営のひとつの答えかもしれない。そして、その姿勢に共感する企業や人材と出会うことで、新たな物語が生まれていく可能性を秘めている。
一杯のラーメンが紡ぐ物語は、まだ続いていく。


