
【取材と対話から生まれた“新たな共創”】
福田塗装工業所 × 富士室内工芸
メディアトーキングが開いた、地域ものづくりの未来
1.2社それぞれの背景と、挑戦を続ける理由
有限会社 福田塗装工業所
1985年、先代が自宅敷地に小さな作業場を構えたことから始まった同社は、プラスチック塗装、
とりわけ自動車部品塗装で確かな技術を築いてきました。自動車業界は塗装レス成形や環境対応が進み、
塗装技術の高度化と迅速化が強く求められる厳しい時代です。
人材不足や材料費高騰といった逆風の中でも、福田塗装工業所は外国人技能実習制度の導入など、
未来を見据えた経営に積極的に取り組んでいます。
「既存の技術をさらに発展させ、次世代にきちんと伝える。そのために新たな挑戦も恐れず続けたい」
(代表取締役 福田敏充)
企業情報ボックス(福田塗装)
【会社情報】有限会社 福田塗装工業所
代表取締役:福田 敏充
住所:群馬県館林市近藤町372-9
電話:0276-74-1909
FAX:0276-74-1934
営業時間:8:00〜17:00
定休日:土・日
最良の仕事をし最良の信頼関係・人間関係を保つ!
富士室内工芸株式会社
東京・板橋で半世紀以上、木と向き合い続けてきた家具工房・富士室内工芸。天然木が持つ生命力を活かし、
職人の手で一点一点つくり上げる家具は、多くの家庭で長く愛されてきました。
しかし、2023年7月17日。突然の火災が工場を襲い、建物の大部分が焼失。長年使い込んだ機械や工具、
貴重な木材たち、そして作りかけの作品までもが失われました。創業54年の歴史が一夜にして消えてしまった瞬間でした。
悲しみに暮れながらも、「家業を絶やしてはいけない」という思いで立ち上がったのは、
28歳の若き女性経営者。叔父から受け継いだこの工房には、家族の時間も、職人たちの誇りも、
地域の思い出も詰まっています。それを途切れさせるわけにはいかない――その一心で、
館林にある倉庫に移転し、工場とショールームとして整え、再び木の香りが漂う場所をつくるために動き出しました。
再建後は、これまでのオーダーメイド家具に加えて、暮らしにそっと寄り添う小物や木皿、
テーブルなどのオリジナルブランドにも挑戦する予定です。天然木の温もり、手仕事だからこそ生まれる繊細な曲線、
長く使うほど味わいを増す質感。昭和から令和へ、受け継がれてきた富士室内工芸の
“美しいものづくり”を、より広く発信していきます。
火災で全てを失っても、技も心も消えることはありませんでした。むしろ
「木工の未来をつくる」という覚悟は一層強くなったといいます。
「家業を続けることが、家族や職人、お客様へのいちばんの恩返しだと思っています」
(代表取締役 石塚玲苗)
【会社情報】富士室内工芸株式会社
代表取締役:石塚 玲苗
住所:群馬県館林市上三林町2217
電話:0276-55-3780
FAX:0276-55-3781
営業時間:8:30〜17:30
定休日:日曜日・祝日(土曜日は同社カレンダーによる)
ホームページ:https://www.mokkouya.jp
困難に立ち向かう若き女性経営者!!!
2.取材の中で交錯した「課題」と「希望」
メディアトーキングが見つけた接点
メディアトーキングが両社を取材した際、自然な会話の中から浮かび上がったのは、
両社が互いの力を必要としている構図でした。
富士室内工芸のニーズ
・近場で木材塗装を委託できる業者を探している
・扱う木材が大きく、高度な塗装技術と柔軟な対応が必要
・現在は木材塗装を埼玉の業者に依頼しており、移動やコストの負担が大きい
・今後はウレタン塗装業者、挽物(テーブル脚などの加工)業者も探している
福田塗装工業所のニーズ
・プラスチック塗装に加え、新たな分野の塗装にも挑戦したい
・既存の技術を応用し、技術発展と人材育成につなげたい
取材の中で富士室内工芸から出た「近くに木材塗装をお願いできる会社がほしい」という言葉に対し、
メディアトーキングは即座に福田塗装工業所の状況と照らし合わせました。
その結果、
「まずは実証を行いながら、交流と知見共有を重ねていく」
という形で、双方が安心して一歩を踏み出せるマッチングが実現しました。
近場であることから、互いに工場へ足を運び、現物を見ながら打ち合わせできる点も大きな強みです。
3.実証に向けた課題と今後の進め方
課題1:木材塗装は素材特性が大きく影響する
・木は「生きた素材」であり、種類・導管・密度・含水率によって仕上がりが変わる
・塗料の吸い込み方や発色、乾燥時間も素材ごとに異なる
・プラスチック塗装とは理論も工程も大きく異なる
そのため、まずは試験塗装を行い、
福田塗装工業所の技術がどのように木材へ適応できるかを検証していきます。
課題2:家具サイズに対応できる塗装ブースの検証
・特注家具が多く、大きいと5m近くもある木を扱う
・既存塗装ブースに収まるかどうか、搬入動線も含めた確認が必要
・大型塗装を行う場合、工程の組み直しや設備調整の検討が必要になる可能性もある
今後は現地での寸法確認や工程設計を行いながら、現実的なオペレーションを模索していきます。
4.交流と知見共有から始まる「長期的な共創関係」へ
両社は当面、
「交流を図りながら知見を共有し、お互いにメリットとなる事業に繋げていく」
ことを目標に進めていきます。
・お互いの工場に足を運び、現場を見ながら技術検証
・品質基準や納期、コストに関するすり合わせ
・大型家具塗装の可能性検討と、安全・品質面のルールづくり
・必要に応じた外部パートナー(ウレタン塗装・挽物加工業者)の情報共有
・職人同士の交流や技術勉強会など、関係性づくり
メディアトーキングは、富士室内工芸が求める
ウレタン塗装業者・挽物加工業者の情報収集も継続し、
二社を軸にしたネットワークのハブとしての役割を担っていきます。
5.メディアトーキングが描く「理想のかたち」
家具産業の新たな価値を創るプロジェクトへ
メディアトーキングは、このマッチングをきっかけに、
群馬県内の家具販売業者を巻き込んだ“共創プロジェクト”
の可能性を見ています。
県内の家具販売店には、「自社オリジナル商品を持ちたい」「地域の木工・職人技を活かしたい」といった
潜在ニーズがあります。その受け皿として構想しているのが、次のような連携です。
【メディアトーキングが考える理想の形】
デザイナーによる家具のデザイン × 富士室内工芸の木工技術 × 家具販売業者の販路
= 地域発の新しい家具ブランドをつくる
・デザイナー:コンセプト設計・プロダクトデザイン
・富士室内工芸:木工加工・製造・仕上げ
・福田塗装工業所:必要に応じた塗装技術の提供(新素材・新仕上げの開発も含む)
・家具販売店:販売チャネル・顧客接点を担うパートナー
こうした連携が実現すれば、地域に根ざした「共創型ものづくりのエコシステム」が生まれ、
館林から全国へ発信できる家具ブランドが育っていくかもしれません。
6.まとめ:会話から価値を生む――それがメディアトーキングの仕事
今回のマッチングは、
困りごとを聞き出す「ヒアリング力」
企業の方向性や強みを理解する「編集力」
異なる業種同士の点と点をつなぐ「マッチング力」
この三つが噛み合って生まれた成果だと言えます。
火災から立ち上がった富士室内工芸と、技術革新に挑む福田塗装工業所。
その出会いから、館林発のものづくりの未来が静かに、しかし力強く動き始めました。
メディアトーキングはこれからも、
「会話から価値を生み、人と企業をつなぎ、新しい物語をつくる」ことを使命に、
地域の中小企業とともに歩んでいきます。
