Column

取材する側から、取材される側へ。テレビ取材で気づかされた「聞くこと」の難しさ。

取材する側から、取材される側へ。テレビ取材で気づかされた「聞くこと」の難しさ。

いつもは取材する立場だが、今回は取材される立場になった。
メディアトーキングと書道家・筆跡診断士の上野紫楓先生が共同で進めている「グラフォロジーサインストーリー」について、館林ケーブルテレビに取材していただいた。
これまで何度も取材をしてきたが、いざ自分がカメラの前に座ると、どうも勝手が違う。
何を話そうとしていたんだっけ?
あれも伝えたい。これも説明しなければ。
そんなことを考えているうちに、言いたいことが自分でも分からなくなってくる。
普段、取材相手に偉そうに質問している自分は、いったい何なんだろうか……(笑)。
そんなことを考えながら始まったテレビ取材だった。
人生を、一筆に込める。グラフォロジーサインストーリーとは
今回取材していただいた「グラフォロジーサインストーリー」は、メディアトーキングと上野紫楓先生が共同で取り組んでいる、経営者のためのブランディングサイン制作事業だ。
単に格好いいサインを作るのではない。
その人がどのような人生を歩んできたのか。
仕事で何を大切にしているのか。
これから、どのような自分になりたいのか。
まずはメディアトーキングが本人と向き合い、これまでの人生や仕事への想いを聞き取る。その内容をもとに、その人だけの物語を文章にまとめていく。
そして、上野先生が筆跡診断の考え方や書道家としての技術を取り入れ、本人の想いや目指す人物像をサインとして表現する。
歴史上の偉人たちの筆跡に見られる特徴をデザインに取り入れることも、この事業の特徴の一つだ。
例えば、本人が大切にしたい決断力や行動力、周囲との調和といった要素を、筆跡診断の考え方に基づいてサインの形に反映させていく。
もちろん、サインを書けば性格が変わるという科学的な効果を保証するものではない。
大切なのは、自分がどのような人間でありたいのかを考え、その想いを日常的に使うサインに込めることだ。
自分の名前を書くたびに、自分自身の生き方や大切にしていることを思い出す。
そんなサインがあってもいいのではないか。
そして、サインとともに、その人が歩んできた人生を物語として残す。
人生を言葉で表現するメディアトーキングと、人生を一筆で表現する上野先生。
それぞれの専門性を組み合わせることで生まれた、新しい形のブランディング事業だ。

note(ノート)
+1
取材される側になって、初めて分かったこと
さて、今回のテレビ取材。
事業の説明をしようとするのだが、どうにも話がまとまらない。
頭の中には伝えたいことが山ほどある。
しかし、それを限られた時間の中で、初めて聞く人にも分かるように説明するとなると、これがなかなか難しい。
そんな私に対して、レポーターさんは実に的確な質問を投げかけてくれた。
こちらが何を伝えたいのかを考えながら、一つひとつ話を引き出してくれる。
おかげで、途中から安心して話すことができた。
そこで、ふと思った。
「あれ? 私は普段、取材相手に対して、こんなふうに質問できているのだろうか?」
取材する側は、何を聞きたいのかが分かっている。
記事の構成も、ある程度は頭の中にある。
だから、ついつい自分が聞きたいことばかり質問してしまう。
相手が何を伝えたいのか。
どのような順番で質問すれば、安心して話してもらえるのか。
そもそも、相手が話しやすい雰囲気を作れているのか。
そんなことを、どこまで考えていただろうか。
いや、考えているつもりだった。
しかし、今回の取材を受けながら振り返ってみると、自分勝手な質問ばかりしていたのではないかと思えてきた。
自分の聞きたいことを聞くのと、相手の伝えたいことを引き出すのは、似ているようで違う。
これまで取材してきた方々も、私の質問に対して「何を答えればいいんだろう?」と戸惑ったことがあったのかもしれない。
いや、きっとあっただろうな……。
これは反省である。
「聞く」と「引き出す」は違う
私はこれまで、多くの経営者や事業者の方々にお会いし、その人生や仕事への想いを聞いてきた。
メディアトーキングの仕事は、会って、話すことから始まる。
何気ない会話の中から、その人自身も気づいていなかった価値や可能性を見つけ出し、記事にしたり、人と人をつないだり、新しい事業へと発展させたりしてきた。
だからこそ、「聞くこと」には自分なりの自信もあった。
しかし、今回の取材で気づかされた。
取材相手が話してくれたことを、そのまま聞くだけでは足りない。
相手が何を伝えたいのかを理解し、その言葉が自然に出てくるように質問する。
時には、相手自身も整理できていない想いを、一緒に整理していく。
今回、レポーターさんの質問に助けられながら、私はそんな取材の基本を改めて教えてもらった気がする。
考えてみれば、これはグラフォロジーサインストーリーの仕事にも、そのまま当てはまる。
お客様がどのような人生を歩み、何を大切にしているのか。
それを十分に聞き取れなければ、その人らしい物語も書けない。
上野先生がサインを制作するために必要な、その人の想いや目指す姿も、十分に伝えられない。
つまり、今回のテレビ取材は、新事業を紹介していただく機会であると同時に、私自身の仕事の原点を見直す機会にもなったわけだ。
取材する側も、取材される側も、同じ人間なのだ
取材が終わって、改めて思った。
普段、取材相手には「いつも通り、気楽に話してください!」なんて言っている。
でも、いざ自分が取材されると、全然気楽に話せない!(笑)。
これからは、もう少し取材される側の気持ちを考えなければならない。
相手が緊張していたら、まずは雑談から始めてもいい。
話がまとまらなければ、質問の仕方を変えてみればいい。
自分が用意した質問にこだわらず、相手の言葉に耳を傾ける。
当たり前のことなのだが、取材する側にいると、意外と忘れてしまうものなのかもしれない。
今回、館林ケーブルテレビの皆さんには、新事業を紹介していただいただけでなく、取材する側としての姿勢まで学ばせていただいた。
ありがとうございました!
そして、上野先生とともに進めているグラフォロジーサインストーリー。
これからも、一人ひとりの人生に向き合い、その人だけの物語とサインを形にしていきたい。
そのためにも、まずは私自身が、もっと人の話を聞ける人間にならなければならない。
取材する側も、取材される側も、人生の主役は、ほかの誰でもない。
目の前にいる、その人自身なのだから。
メディアトーキング 代表 山元将永(やまもと のぶひさ)